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「ロギア・・・お前・・・生きてたのか!?」
驚く面々のなかで最初に口を開いたのは天馬だった。
「期待に沿えなくて悪かったな」
「いや、そーじゃなくて・・・いや、てっきりさ・・・」
天馬が口を濁す。それは伝通院も、彼らから話を伝え聞いている沖田をはじめとする国防省の面々も同じ考え、つまりロギアは地球侵略に加担したとして処刑されたのではないかと思っていたのだ。
「幸いにウオフマナフは人材不足でな。使える者は使いたいということだ」
やや自嘲気味にロギアは答えた。
「へへっ、なんにせよこうして生きてまた会えてよかったよな!」
ぽん、と天馬はロギアの肩を叩いた。
「どうかな。ところで、あそこの見たことのない地球人が警戒しているがいいのか?」
「へ?」
言われて振り向いて天馬は鷹介・一甲・おぼろの存在を忘れていたことに気付いた。
鷹介はあきらかに警戒心むき出しだ。
「あ、あー、悪ィ悪ィ。ついうれしくってさ。コイツ、インパクター星人のロギア。ん、まあちょっとした勘違いで地球を侵略したこともあるけど、いいヤツだから。大丈夫大丈夫」
侵略者、と聞いて鷹介たちの顔色が変わり、天馬は自らの失言に気付いた。
「あ、で、でもロギアはたいしたことしてないし・・・」
慌てて天馬は言葉を継いだが、さらにそれは墓穴だった。
「ほう、お前は私の戦歴をそう評価しているのか」
たいしたことをしていない、と言われたロギアが不機嫌になる。
「いや、まあ、その・・・それはそれ、これはこれってことで・・・あー、もう、なんちゅうかー、とにかく、今はロギアは地球の味方なの!そうだな!」
「そうなのか?」
「そうじゃなきゃなんだってんだよ!」
売り言葉に買い言葉・・・というよりもロギアが面白がって天馬を騒がせているような状態だ。
このままでは収拾がつかない。が、助け船を出す立場(と思われる)伝通院は一言も言葉を発しなかった。
それに気付いたのは鷹介だ。
「センセイ?」
ロギアと天馬を黙って見つめている伝通院に声をかける。
「ん?」
驚いたように伝通院が鷹介を見た。
「ああ、失礼。ちょっと驚きすぎたようだ」
「ふーん。で、アイツ信用して大丈夫?」
アイツとはもちろんロギアのことである。
「そう・・・だな。彼とはいろいろあったが、体を張ってロギアの目を覚まさせたのは天馬だ。だから俺は信用する」
「なにそれ?」
「惚れた欲目かもしれないが天馬にはそういう才能がある。実は俺も天馬に目を覚まさせられた口でな・・・だからわかる」
やや照れ臭そうにそう話す伝通院をなんとも奇妙な面持ちで鷹介、一甲、おぼろは見つめた。
「・・・なんや、どっかでよう似た話を見聞きした気がするんやけど」
おぼろは横目で隣の二人を見、話を振られた二人は明後日の方を向いた。
どんな神のいたずらか、でき過ぎなほどよく似た二組のカップルである。
「おい!おまえら人の話聞いてんのか?洸も!」
ロギアと漫才をしている間に注目がそれた事に気付いて天馬が割って入る。
「聞いてるよ!わーった。じゃあとりあえずオレもそいつを信用する。いいよな、一甲、おぼろさん」
「せやな、ここでごちゃごちゃ言うててもしゃあないし」
「異論ない。だが、なぜ今、この状況でここにいるのかは聞かせてもらう。その話次第だ」
一甲の言葉は天馬や伝通院ではなく直接ロギアに向けられたものだ。
一応でも信用するという割に眼光は鋭い。
が、それに動じるロギアでもない。
「おまえ達はこの騒ぎが地球人一人で起こせると思っていたのか?」
質問に質問で返す。相変わらずストレートな物言いをしない男である。
「え?まさかお前、じゃないよな?」
思わず天馬が聞き返す。信用しろと言った手前、それはとてもマズい。
「俺ではない。だが不本意ながら、我が同胞に連なる不届き者が手を貸している」
ロギアの説明はこうだった。
今から48時間前、地球観測衛星(ウオフマナフ所有)から異常信号が発せられた。
どうやら何者かが地球へ降下したらしいということで調査が行われ、分析の結果、一人のインパクター星人が降下、地球人に接触し、国防省へ侵入したとわかった。
その目的は不明。だがその人物がウオフ・マナフ全域に指名手配されているクラスAのテロリストだったからさあ大変。
急遽地球に詳しいインパクター星人のロギアを呼び寄せて派遣してきたのだが・・・
「ひと足遅かったというわけだ」
淡々とロギアは言う。視線は一甲に向けられたままだ。
「なぜ48時間もかかった?」
一甲が尋ねた。
「一つは観測班の怠慢。だが最大の理由はさっきも言ったが人材不足だ。地球に詳しい者は皆、先の侵略行為に関わっていたとのことで処罰され不在。中央在籍者でもその流れに加担した者も同様で通常業務にも支障をきたしている。唯一、最後に地球側についたということで処分を免れた俺が呼び出されてここにつくまで48時間かかったという次第だ」
「その話を信用する根拠は?」
「ない」
なんとも言えない緊張感が漂う。
目から光線でも出しそうな強さで一甲とロギアの視線がぶつかった。
「いいだろう」
先に口を開いたのは一甲だった。
「一甲?!」
鷹介が驚きの声を上げる。
「ここで真偽を議論するのは時間の無駄だ。この男がここにいるという事はその逃亡犯がまだ地球に潜伏して何かを企んでいる、ということだろう」
「ふん、地球人にしては頭の回転が早い」
またもめ事の火種になりそうな発言をロギアが口にした。
が、それに誰かが反応する前に“月光”の隊員が輪の中へ飛び込んできた。
「隊長!奴の居所がわかりました!」

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