<4>
ドーン!
爆発音。
通りの方を振り返ると黒煙が上がっているのが見えた。
(事故か?)
普通の反応として天馬はそう考えた。
だが。
キャーッ!
通りの向こうから大きな悲鳴が上がり、人々がこちらへ逃げてくるとあってはただごとではない。
さらにその後から奇妙なものがやってきた。
「なんだありゃあ・・・」
思わず天馬は呟いた。
出来損ないの甲冑のような不細工なロボットみたいなのが軍団で歩いてくる。
その腕の先から白煙が上がっているのに天馬が気付くのと、それが再び火を吹くのが同時だった。
ドーン!
硝煙と炎が上がり、アスファルトと放置自転車と小さな店の前のワゴンが宙を飛んだ。
その一撃で、天馬は自分のなすべき事を判断した。傍にいた男のことは頭から消え、手に持っていたヘルメットを放り出して走り出す。
「待ちやがれ!」
そう叫んで装着しようと構えた瞬間、何かが天馬の脇を走り抜けた。
ガン、という鈍い音。
ひっくり返るロボット(仮)。
その傍に立っていたのは、あの作業服の男だった。右手に鉄パイプを握っている。
「あんた・・・」
「早く逃げろ迅雷、シノビチェンジ!」
男が叫ぶのと、残りの連中が男めがけて一斉砲火を浴びせるのが同時。
続く惨状を予測して思わず天馬は目を閉じた。
が、怖い物見たさゆえかすぐに開けてしまった視界に飛び込んできたのは白煙の中央に仁王立ちになっている、えんじ色の仮面の人物だった。
(えーっと・・・あれって、やっぱりさっきのあいつなわけで・・・まさかあいつもグランセイザー・・・なわけはないか)
角の部分はカブトムシに見えるがレムルズ=伝通院のそれとは形も色も違う。全体のフォルムもセイザースーツとはかなり違うようだ。
(じゃあ、なんだ?)
呆然とする天馬を尻目に男とロボット(仮)たちは戦闘を始めた。
「うわっ!」
流れ弾が天馬の足下の石畳をえぐる。
「何をぼんやりしている!早く逃げろ!」
仮面の男がまた叫んだ。
だが最後の一言は天馬には余計なお世話だ。
「うるせえ!逃げるのは性に合わねえんだよ!・・・装着!」
叫んで走り出す。
左手に熱い感触が蘇り、炎が天馬を包んだ。
久々の装着は忘れていた感覚を呼び覚まし、天馬は戦士となった。
「驚いたな」
「そりゃ、こっちの台詞だ」
数分ですべてを片づけて、天馬は男とまた向き合った。
「お前は何者だ?」
仮面の下から男が訊く。
「だからそれも俺が聞きたい・・・って言い合ってても仕方ないわな。俺は天馬。弓道天馬。この格好の時はセイザータリアス」
「霞一甲・・・カブトライジャーだ」」
「イッコウ、でカブトライジャーね・・・で・・・うわっ!」
さらに詳しい話をしようとしたところで、いきなり地面が揺れた。
慌てて見回す二人の目に映ったのは駅の向こうに、せり出すように現れた巨大な物体だった。
鈍い赤色の、武骨で重量感あふれるボディを持ったロボット。
「なんだあれは?!」
一甲が叫んだ。彼はあれを知らないらしい。
しかし、天馬はそいつをよ〜〜〜〜く知っていた。
「ユウヒ・・・」
ロボットの名を天馬は呟いた。