一甲の胸に巣くっていたサソリと3匹のファングールとマンマルバが消えた夜。
オレは一番欲しかったものを手に入れた。

<はじまりの夜>

シャワーの雨の中、抱きあった。
お互いの身体を洗うためのスポンジが足下を転がっていったが、もうそんなものは見えていなかった。
シャワーを止めるのも忘れて唇を重ねる。
深く浅く、舌を絡め角度を変えてお互いの唇を貪るように。
腰に回された一甲の手がオレの背中をゆっくりと動き始めた。
その動きが次々にオレの体に火をつけ、そこから生み出された熱は身体の中心に向かって集まっていく。
密着した状態ではその変化が一甲にモロにバレてしまうけど、今のオレにはそれを恥ずかしいと感じる余裕すらなかった。
ただ欲望だけに支配されて行く。
それすら気持ち良くて。
地球を守るという大義を持ったオレたちが、こんな・・・いわゆるラブホテルの一室でこんなことをしてちゃいけないのかもしれない。オレだってさすがに入るときは抵抗があった。
でも、一甲の目を見た瞬間、そんなことはどうでもよくなった。
今まで自分でも気づかずに押さえていた気持ちが、堰を切ってあふれ出す。
「いっこう・・・」
たまらずに声を出すと、ちゅ、と音を立てて唇が離れた。
「んっ」
一甲の手がオレのモノに触れる。
それだけでイキそうだ。
「あ、ああっ!」
与えられる刺激のままに嬌声を上げると、一甲のモノが大きさを増すのが分かった。
それを感じてオレのアレもさらに反り返る。
快楽の連鎖反応。
でも、まだ足りない。
もっと感じたい。
もっと深いところで一甲を感じたい。
「よせ」
ねだるように腰を動かせば、やんわりと止められる。
「いやだ」
だって止まらない。止められない。
とんでもないインランだと頭の片隅で思う。
でもそれを止めるための理性なんてものはこの部屋に入った瞬間に麻痺してるんだ。
「なあ・・・一甲・・・」
「まだ無理だ」
「無理、じゃ、ない・・・ああっ!」
いきなり後ろに指を入れられた。なんの準備もしてないソコはぎゅっと収縮して抵抗する。
「無理だろう?」
すぐに指を抜いて一甲が笑う。
その余裕が、限界だったオレにちょっとだけ意地を出させた。
「鷹介!」
慌てたような一甲の声。
ざまーみろ。
心の中でそう叫ぶ。
実際の口は一甲のモノでいっぱいでそれどころじゃないから。
引きはがそうとする一甲の手に逆らって腰にしがみつきながら初体験の口での愛撫を敢行する。
やり方なんて知らないから、何度か見たことのあるAVと一甲がオレにするときのを思いだしつつ舌を動かす。
「くっ」
微かに一甲が呻いた。
俺のくわえている一甲もぐっと硬度を増す。
その反応に気を良くして上目遣いに見上げれば、一甲が困ったような顔をしていた。
「まったく、お前には勝てん」
してやったり、と思う間もなく、ひょいと抱え上げられた。
そのまま後ろを向いて立たされる。
壁に手をついて、尻を突き出して・・・これってかなり恥ずかしいよな?
「覚悟しておけよ」
一甲の言葉に、次に来る衝撃を覚悟して息を詰めた。
「わっ」
けど押し当てられたのは予想よりずっと柔らかいもの。
舌だ。
「んんっ」
軟体動物のようにうごめくその感触。
「ああっ!」
舌を差し込まれてのけ反った。
勝手知ったる、というのはこういう状態を指すんだろう。どうやればオレが声を出すか一甲には分かってるから始末におえない。抵抗なんて全くの無意味だ。
ぴちゃぴちゃという音とオレの口から漏れる声がいやらしくバスルームに響く。
意識を他に向けたくて下を向くと、自分の足の間からオレの後ろにひざまずいてアソコに顔を突っ込んでる一甲が見えた。内股を伝って一甲の唾液ともシャワーの湯ともつかないものが流れていく。
あまりにもエロいポーズに眩暈がした。
けどその光景に身震いするほど感じたのも事実。
身体がまた暴走し始める。
奥までは届かない舌のもどかしい動きに腰を振り、与えられる刺激に滑らかなタイルを引っかいた。
そう、もっと欲しい。
もっと深いところまで。もっと熱いものが。
「一甲・・・一甲・・・」
うわごとのように一甲を呼ぶ。唇がそれ以外の言葉を忘れてしまったのかもしれない。
不意に舌が離れた。代わりに入ってきたのは指だ。長くて器用な指はさっきよりもずっと奥を探り、より深い快感をもたらす。
「う、んっ・・・」
ああ、だめだ。もう踏ん張ってもどうしようもなく足が震えてしまう。
まだ足りないのに。
本当に欲しいものはそれじゃないのに。
「大丈夫か?」
そうは訊くものの、一甲に指の動きを止める気はなさそうだ。
「ああ・・・一甲・・・イキ、そう・・・」
切れ切れに声がこぼれる。
そう、もう限界なんてとっくに越えてる。
だから一甲。
「欲しい・・・」
こぼれ落ちた言葉。
男の意地なんてそんなものくそ食らえだ。
欲望のありかとそれをもたらすものをオレは知っている。
半端な快楽じゃイケても満足できない。
「わかった」
一甲はそう言って、オレの中から指を引き抜いた。
そして今度こそあてがわれるずっとデカいもの。
「ああああ!」
悲鳴にも似たオレの叫びが空間を切り裂く。
いつもの三割り増しくらい大きいんじゃないかと思うくらいの衝撃だった。
「大丈夫か?」
また一甲がオレに訊く。
「だ、だい、じょう・・・ぶ・・・」
そうしか答えようがない。
だってこれがオレの望みだから。
ゆっくりと一甲が動き始める。
その度にオレの口から嬌声と呻きが交互に漏れた。
もう、なにも考えられない。
次第に早くなる一甲の腰と手の動きに、頭が真っ白になっていく。
強烈な快感。
「鷹介・・・!」
「ああっ、一甲、一甲・・・あああ、イ、イクっ!」
一甲に抱きしめられたままオレは絶頂へ駆け登った。

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