「ってことで,さあ,仁のいってみようか。仁も披露しろな。」
すっかり酔ってハイテンションな天馬に苦笑いしつつ,みんなが仁のプレゼントを用意する。

「私たち,4人からはこれです!」
未加・愛・蘭・剣の4人から手渡されたものは,なにやら大きな箱だった。
「開けていい?」
「もちろん!仁さんはするでしょ。」
中から出てきたものは,最新型のゲーム機。対戦型ゲームつき。
「たまには豪さんとゲームでもやってくださいね。」
にっこり笑ってそういう蘭に,
「豪が・・ゲームすると思う?」
「私もそうは思ったんだけどね,ほら,大人になって始めるとはまるっていうじゃない。豪もはまってみろって思ったりして。」
おもしろそうに言う未加に,思わす仁が呟く。
「あの〜〜〜,俺へのプレゼントじゃないの?」
「あら,もちろん仁によ。これで豪が仁のところに入り浸ったりしたら,嬉しいかと思って。」
「「・・・・」」
思わず顔を見合わせた豪と仁に,回りから笑いが起こった。

「俺たちはこれだ。」
直人が差し出したのも,そこそこ大きな箱だった。
「2人で吟味させてもらったわ。」
「涼子さん・・・」
何とも複雑な顔をした仁に,
「ま,開けてみろって!」
天馬がすかさず声を掛ける。
中は,ワイングラスが2つ。
ちょっとアンティークっぽいそれは,普段に使うには惜しいようなもので。
「ありがとう。なんか・・・かざっとく感じだな。」
「あら,使って欲しいわ。おいしいワイン,2人で飲んでね。」
「2人・・・?」
思わず聞き返した仁に,
「だれとかまで,言わせたいの?」
含み笑いで涼子が答えて。
「いえ・・いいです・・・」

「次はこれだ!」
押しつけるように渡されたのは,これまた大きな袋で。かわいくラッピングまでされている。
「ちょうど抱き枕サイズ・・なぬいぐるみだ!」
「なんで・・・?」
大きな包みを抱いたまま,仁が力なく問いかける。
「クワガタを探したが無かったから,イルカだ!形的にも抱き心地は保証する!」
なぜか自信満々に答える辰平に
「お前に保証されてもな,辰平。」
と,辰平の頭をペシンと叩いて誠が言う。そして,
「おまけは俺の写真だ。ただし,今日のみんなの写真を撮って,あとでパネルにして持ってくよ。あ・・ツーショットがよければ,それでもいいぞ?」
「みんなでいい・・・」
「そうか,じゃあ豪とのツーショット撮ってやる。」
からかう誠に,仁はもはや言葉もなかった。

「俺と洸からはこれだ!」
天馬が勢い込んでもってきたのは,テッシュボックスくらいの大きさの箱だった。
「また箱?あんまり大きくないな。開けていい?」
「いや・・・ここではやめておけ,仁。」
なぜが洸が止める。
「なんで?」
「開けてみろよ,仁!」
ニヤニヤと笑う天馬に,何となく察してしまったらしい仁は
「ひょっとして・・・女の子のいる前で開けない方がいいようなもの?」
「ああ・・そうだな。必需品・・だとは思うが。」
ちょっと答えづらそうにした洸とは対照的に,ますますニヤニヤとにやけた顔の天馬が一言,爆弾を落とした。
「まあ,しっかり豪と使ってくれ!使うのは豪か??」
内容を察した男どもが思わず目をむく中,天馬だけが満面の笑みを浮かべていた。
その天馬に・・・
無言で鳩尾にパンチと額にチョップ。
ナイスコンビネーションは,涼子と未加だった。
そして・・みごとに天馬はその場に落ちた・・・

「俺はこれだ。」
仕切るもののいなくなったあと,豪は仁に小さな箱を手渡した。
「開けていい?」
頷く豪に,丁寧に包みを開けて,中から出てきたのはビロードの小箱。
開けてみるとそこにあったのは,ピアス。
いつも仁がしているデザインととてもよく似ていて,プラチナ製。
仁が手にとってよく見ると,ひとつの方には小さな青い石がひとつ,もうひとつには赤い石がひとつ,輪の内側になる方に入っていた。
「これ・・サファイア?」
「ああ,極小・・・だけどな。誕生石だよな,お前の。」
「この赤いのはルビー?」
「いや,ガーネットだ。」
なぜかちょっと赤い顔して言う豪に,それまで黙って聞いていた涼子が一言。
「ガーネットって,1月の誕生石よ。」
さらっと言われて,豪は背中を向けてしまった。

「やりますね,豪さん。」
「やっぱり見たかったな,豪さんがそれをどんな顔して買いに行ったのか・・。」
「仁さん,つけてみて〜〜。」
みんな口々にはやし立てて。照れくささに背を向けた豪と・・・まだ一言も発しない仁。
「仁さん?どうしたんですか?」
焦れてしまった愛がついに声を掛けた。

「ありがとう・・・」

いつもの仁のトーンとはまるで違う声に,みんなシンとなって。

そんなとき,
「私からの差し入れです。今日はうちの店を使ってくださってありがとうございます。お誕生日のお祝いだとお聞きしたので,心を込めて焼かせていただきました。」
自分たちとそう年の変わらないオーナーシェフの言葉に,みんなの目がケーキに集中する。
「「わ〜〜〜〜!!!おいしそう!!!」」
きれいにデコレーションされていて,チョコのプレートには,「HAPPY BIRTHDAY」の文字。
みんなの騒ぎに天馬も復活して。
ろうそくを立てて,明かりをつけると,オーナーシェフが電気を消してくれた。
みんなで蘭と仁の誕生日を祝い,2人が息を吹きかける。
みごとに消えた明かりに,拍手が響いた。
部屋のあかりが戻ると,シェフがきれいに切り分け,皿に取ってくれた。

「さあ,残りのもの,食べっちゃって!」
「お酒もね,残さないように飲んでね。」
未加と蘭の言葉にみんなで,食べて,飲んで,騒いで。

「じゃあ,そろそろ・・。最後は仁,お前が締めろ。」
天馬の言葉に,仁が頷く。
「こんな年になって,誕生日祝ってもらうのがこんなに楽しいなんて思わなかった。今日はみんなありがとう。蘭もありがとな。みんな仕事もバラバラで,あんなことがなきゃ,絶対出会わなかったと思うけど,出会えてよかったと,今心から思う。この絆は,永久に・・・ってキザだな〜〜〜俺。」
照れ笑いをする仁に,誠がシャッターを切った。
「いい表情だ,仁。」

そんな様子を見ていて,ふと思いついたように天馬が言う。
「次は・・誠だよなっ!」
「は?ああ,誕生日のことか?残念だが,俺は多分いないぞ,日本に。取材に海外に行く予定なんだ。悪いな。」
「じゃ,俺だ!!!!」
気合いを入れて言う天馬に,洸が
「いや,天馬のは俺だけで,するから。」
一言言い放った。
「は?」
「俺がすべて1人でコーディネートしてやる。楽しみにしていろ,天馬。」

「「「あの〜〜〜洸さ〜〜ん」」」
みんなからのツッコミをよそに当の洸は涼しい顔だ。
さすがの天馬も,これには参ったようで,ぽかんと口を開けたままだ。

「本日はこれにてお開き!」
結局は未加の一言で,会は終わりを告げた。

next