天馬と洸が入って,続いて豪が入って。
最後に仁が入ったところで一斉にクラッカーが鳴った。
「「仁,おめでとう!」」
「「仁さん,おめでとう!!」」
「「HAPPY Birthday!!」」
音ともに歓声が響いた。

テーブルの上にはおいしそうな料理がたくさん並べられていた。
グラスが配られて,
「蘭,仁,お誕生日おめでとう!かんぱ〜〜〜い!!」
そんな元気のいい天馬の声をきっかけに,誕生会という名の飲み会が始まった。

「さすがに洸が紹介してくれた店だけのことはあるわね。」
「うん,お姉ちゃんの言うとおり。おいしいよね,料理。」
「もう・・・天馬,そんなにガツガツ食べないの!あ,もうお酒もそんなに・・。」
未加の声にも,料理を頬ばることに必死な天馬からの返事はない。
「飲んだのか,天馬。バイクは置いて帰れ。俺が送るから。」
横から,どこかピントのはずれた言葉がかかった。
「洸さん・・会は始まったばかりなんですけど。」

「これ食べる?」
「ああ。涼子も食べてるのか。」
「ええ。ワインもおいしいわね。」

「うめ〜〜!なんか幸せだな。」
「結構お手軽なやつだな。お前は。」
あきれたような誠の言葉に,それでも辰平にニコニコしながら答える。
「そんなこと言ったってさ,ほんとにおいしいぜ,これ。愛もしっかり食べろよ!」
「ありがと,食べてるよ。」

「蘭はいくつになるんだ?」
「仁さん,そんなこと聞くもんじゃないですよ,女の子に。」
「21だよな,蘭。」
「もう,神谷さん!」
豪をバシバシ叩きながら蘭が言う。
「若いんだからいいだろう。」
「剣より年上だからちょっと悩むよなあ。」
おどけたようにいう仁の言葉に,返ってきたのは
「・・仁さん・・・」
低くなった蘭の声。ヤバイ!ととっさに感じた男2人,
「さ,飲んで,な,蘭ちゃん!ここのワイン,おいしいぞ。」
「蘭,これうまいぞ。お前の分も取ってきてあるから!」
必死でなだめた。
「今日はごまかされてあげます,仁さんの誕生日だから。」

「え〜〜〜,ここで,プレゼントを渡しましょう!」
またも大きな天馬の声が響いて,各自がそれぞれ用意してきたプレゼントを取り出す。
「じゃあまず,蘭に。」

それぞれが蘭にプレゼントを持ち出してくる。

「蘭,披露してくれよ。」

「これは,洋服!あ,秤谷ブランド!」
「って,めっちゃわかりやすいな,だれからのプレゼントか。」
天馬の言葉にすまなさそうに仁が答える。
「ごめん・・・時間無くて。でも,蘭に似合いそうな服を一生懸命選んだから。」
「ありがとうございます。普通じゃ手が出ませんから。」
「それに合わせて欲しいんだけど・・」
ジュエリーボックスに入ったそれは,ペンダントだった。
「涼子さん?」
「これは私と直人から。仁の選んだプルオーバーに合わせて選んだの。」

「で,これは私と愛ちゃんから。」
次は未加と愛のようだ。
「欲しいって言ってたミシン。」
「こんなに小さいのがあるのか?」
また天馬が口をはさんでいた。
「最近はあるのよ。」
「ダンスの衣装作るのに便利なんです。助かる〜〜。ありがとうございます。」

次にごそごそをやっているのは洸だった。
「で,洸は・・天馬といっしょか?っていうか,天馬が洸に頼んだか?」
という豪の言葉に,頭をかきかき,天馬はばつの悪そうな顔をして。
「ちぇ,お見通しかよ。」
「これですか?えっと,えっ・・・何,体重計じゃないですよね??」
出てきたのものも,蘭がとまどいの声を上げた。
「おっ,おい,洸!」
さすがの天馬も己の選択ミスを感じたのかもしれない,洸にまかせるんじゃなかったと。
「いや,体脂肪計だ。これで体調管理をしてくれ,蘭。」
いつもの調子の洸の言葉に,蘭は笑うしかなかったようだ。
「あはは・・ありがとうございます。がんばります・・・」

「次は,俺たち。」
薄っぺらな箱を抱えて出てきたのは,辰平と誠だった。
「俺のとった蘭の写真だ。」
蘭の写真がきれいに引き伸ばされ,パネルにおさまっていた。
「うわぁ,さすがプロ!綺麗に撮れてる!ありがとうございますっ!」
「そんでおまけ!水族館の招待券!いつでも剣といっしょにどうぞ。」
今日もいつもの格好の辰平が人のよさそうな笑顔で,蘭の手に封筒を渡した。
「辰平さん!!もう・・」
「照れない,照れない!ミックといっしょに待ってるぞぉ!」

「豪は?」
天馬に指名され,豪はポケットから小さな包みを出した。
「あ・・俺は,これ。」
小さなリボンのついたかわいい包みの中は,髪をまとめるための髪飾り。
「きれいなバレッタ。それにゴムも。かわいい。」
「蘭のポニーテール,似合っているからな。でもたまにはそっちも使ってくれると嬉しいかな。」
きれいな飾りを施した,バレッタ。それを嬉しそうに手に取る蘭を見ながら剣が呟いた。
「豪さんがこれ買うところ・・・想像できない。」
「ほっといてくれ。」
ふてくされたように言う豪に,みんなの笑いが起こった。

「剣は?」
最後に残った剣に視線が注がれる。
「あ・・,僕は・・」
「はいはいはい!2人の時がいいよなぁ!あとでごゆっくりどうぞ。」
しっかり仕切っている天馬にみんなあきれながら,それでも,それ以上はだれも追求しなかった。

next