<3>
いささか乱暴に鷹介の衣類を剥ぎ取り、ベッドに横たえた。
まだ成熟しきらない若木のようなしなやかさを持つ肉体を鑑賞しながら、手袋を外す。
「・・・じろじろ見んなよ」
「綺麗だ」
「ばっ・・・馬鹿言ってんじゃねえ!」
鷹介はわめいたが、目元まで真っ赤にした顔では迫力はない。むしろ一甲の欲望を煽っていることに気づいているのかいないのか。
一甲は手早く自分の服を脱ぎ捨てた。
「鷹介」
押さえ込むように肌を合わせる。
狭いベッドが男二人分の重みに悲鳴を上げた。
扇情的な唇に口付けながら剥き出しの下肢に手を伸ばす。
既に立ち上がり始めていたアレを握ると鷹介の口から甘ったるいため息がこぼれた。
もう、止まらない。
「鷹介・・・鷹介・・・」
愛しさのまま、貪るように全身くまなく口付けながら何度も名前を呼んだ。
鷹介もまた切れ切れの喘ぎとともに一甲の名を口にする。
そうしていないと存在を確認しあえないかのように。
触れ合っているだけでは足りない何かを埋めるように。
いや足りないものは分かっている。
足りないのはたった一つの言葉。
---愛している---
分かっていて、それでもそれを口にしない己の狡さを一甲は憎んだ。
言えないというのは詭弁に過ぎない。
どのみちこうして関係を持ってしまった以上、鷹介が傷つくのは目に見えている。
それでも、一甲にはどうしても言えなかった。
「ん・・・い・・・っこう・・・んんっ、もう・・・いいから・・・」
鷹介が焦れたように声を上げた。
「いいから、なんだ?」
指を休めることなく一甲は訊いた。訊くまでもなくわかっているのだが。
「ああっ、くそっ、わか・・・ってる、だろ・・・」
シーツを握りしめて鷹介が搾り出すように叫んだ。
先程、鷹介に吐きださせたものと例の傷薬を丹念に塗り込んだその部分はすっかりほぐれて、さらなる刺激を欲しがっている。
「入れて欲しいか?」
肝心な部分をかすめるように指を動かして、意地悪く問い掛ける。
その声が欲望に掠れているのが我が事ながらおかしかった。限界が近いのは鷹介だけではない。
キっと鷹介は一甲を睨みつけたが、観念したように目を閉じて頷いた。
その色香に一甲の最後の歯止めが外れた。
するりと体勢を入れ替える。
仰向けにした鷹介の両足を抱え上げて突き入れた。
「ああああっ!」
「くっ」
後ろからの時とは違うキツさ。
一甲ですらそう感じるのだから、鷹介の衝撃はもっと大きいはずだ。
折り曲げて抱え込んだ両足が足底まで強ばっている。
「辛い、か?」
と一甲が問えば
「へ、へー・・・き、だ。これ、くら・・・い・・・」
と鷹介は笑った。
しかし言葉とは裏腹に身体は一甲の進入を拒む
それでもそれをなだめすかし、どうにかこうにか一甲が全てを収めるころには、鷹介からも苦痛だけではない喘ぎがこぼれはじめていた。
「一甲・・・一甲・・・ああっ・・・」
奥のイイ場所を責め立てると二人の間にある鷹介のモノが勃ち上がった。
一甲はソレに指を絡めて前への刺激も加える。
「んんっ」
鷹介は大きくのけ反って喘いだ。投げ出されていた手がシーツをぐちゃぐちゃにかき回す。
「鷹介・・・」
身をかがめて一甲は鷹介の顔をのぞき込んだ。
うっすらと開いた鷹介の瞳は情欲に濡れ、揺れ動いている。
目尻に唇を落とすとぎゅうっと抱きつかれた。
左手で鷹介の背を抱き、右手と腰の律動を速める。
鷹介が声にならない悲鳴を上げた。
「鷹介・・・鷹介・・・鷹介・・・」
「一甲・・・一甲・・・い・・・っこう・・・あああああっ!」
一甲の手の中で鷹介が絶頂を迎える。
その熱を手のひらに受けながら、一甲も鷹介の中に熱を吐きだした。