豪は本当に早い時間にやってきた。
寝ているだろうと思っていた俺が起きて仕事をしていたことに驚いていた。
「なんか眠れなくってさ,それで仕事を・・・」
全部言い終わらないうちに抱きしめられた。
「ダメだ,眠らないと。」
「大丈夫,徹夜は慣れてるから。」
「それは・・そうかもしれないが・・」
「でもさ,おかげで今日の分くらいできちゃったぜ。」
「とりあえず,ベッド行け。しばらく休んでいろ。その間に朝ご飯,作るから。」



ベッドに横になって,やっぱり豪のことを考えていた。


「仁,起きてるか?」
「うん」
「ご飯,できたぞ。」
起きあがらない俺に,豪が近づいてきた。
俺は身体を起こすと,がばっと豪に抱きついた。
よろけながらも,がっちりと抱きとめてくれた豪に俺は叫ぶように言った。
「豪,いっしょに住も!」
「はっ?」
「ここでもいいし,新しいとこ借りてもいい。だからいっしょに住もう・・」
「仁?」
「俺んとこに帰ってきて。ここを豪の居場所にして。」
「でも,時間は不規則だし,帰ってこれないこともあるし,この間のような任務だって・・」

「わかってる。そんなの俺だっていろいろあるし。でも!でも,ここに豪が必ず帰ってくると思うだけで,安心できるんだ。」
「・・・」
「寂しかったんだ,昨日。心半分持ってかれるみたいな。面倒かけないよ・・甘えないから・・だから豪・・」
そう言う俺を豪は抱きしめ,背中をポンポンとあやすように叩いてくれて。
「甘えていい。甘えられるときには思いっきり。」
「豪?」
「今決めた。」
「!」
「ホントはずっと迷ってた。前に一度,お前,そんなこと俺に言っただろう?」
そういえば・・そうだった。豪の誕生日の時に・・
「あれからずっと,考えてたんだ。でも決められなかった。秘密を守らなきゃならないことも多い仕事だし,生活時間は合わないだろうし。でも,仁といたいと思う。仁がいるから,帰ってこられた,あの戦いの時でも。だから,仁のところが帰るべき場所だ。もちろん,俺だって仁の帰る場所になりたいんだ。」
きっぱりと言い切った豪に,不意に涙があふれた。
「お・・おい,仁!!泣くなって!」
焦ってあわあわしている豪が可笑しくて,泣きながら笑った。
そのまま豪の胸に顔を埋めるようにして・・・豪もそのまま抱きしめてくれていて。



「仁」
名前を呼ばれて顔を上げると,唇が下りてきて,そっと重なるとすぐに離れていった。
「起きて,飯食おう。」
「ん。それから,いろいろ考えよ。」
「そうだな。」
お互い照れくさくて顔を見れなかったけど,でも気持ちは伝わって。


結局俺たちはその日,いっしょに豪の髪を切りに行き,もちろん色も染め直し。
後は・・・家を片付けた。ちょうど大掃除の時期だし。





年が明けてしばらくした頃,仲間達のところにはがきが届いた。
『引っ越しました。   神谷豪 』

                         
next