気がつけば,年の瀬が迫っていた。
豪からの連絡はまだない。
俺の仕事が一段落付いて,やっと自宅でゆっくり過ごせるようになって,思うのはやっぱり豪のことで。
「メールはいれといてもいいよな・・」
時々メールだけ入れていた。近況だったり,俺の顔だったり(笑)
もちろん返事は返ってこないけど。
ここ数十年なかったってくらい寒い日が続き,雪が舞う12月末,メールの着信音で俺は目覚めた。
仕事は午後からの予定だった。仕事とは言っても,夏に向けての新作のデザインのデッサンだったんだけど。
表示された名前を見て,目が覚めた。そりゃあもうパッチリと。
慌ててメールを開くと
『任務終了。とりあえず休みが取れそうだ。』
それだけで嬉しかったのだけど,-end-のマークがない。下にまだ,何かあるみたいで,画面をスクロールしてみる。
だーいぶ下の方に
『これから行っていいか?』
お〜〜い!気がつかなかったらどうすんだよ〜〜。
一人で突っ込みつつ,風呂場へ向かう。
服を脱ぎながら,そこで初めて返事を打ってないことに気がついて,また慌てて寝室へ戻った。
打ち間違うばかりしてなかなか送れない。
「な〜〜に緊張してんのよ,俺」
『すぐに来い!』
打ったのはたったこれだけなのに。
やっと送信してまた風呂場へ向かい,熱いシャワーを浴びる。
浴び終わってリビングへと足を踏み入れたとたん,後ろから抱きすくめられた。
とっさにひじ鉄を入れそうになったとき,その腕を掴まれ,耳元で名前を呼ばれた。
「仁。」
と。その声は長いこと聞きたかった声だった。
俺は思いっきり体をひねって向きを変え,見上げた。そこにあったのは・・・
「はあ〜〜!!!!お前だれ???」
見たこともないような柄シャツをルーズに着て,へその下あたりのかなり低い位置にボトムがきていて,おまけに金髪で長髪・・・首元にはジャラジャラとアクセサリーがぶら下がっていた。
「あ・・あの・・あのな,仁。仕事が終わってそのまま来たんで,な,すまん,こんな格好で。」
前の方がまだましだ。とさすがに声には出さなかったけれど。
「着がえろ,豪。」
豪の服ならある。
「シャワー浴びて来いよ,とにかく。着替えは出しておいておくからさ。」
クローゼットの中から,新作を取り出す。
部屋着用にと逢えない間に自分で仕立てておいた物だ。
ゆったりとしたプルオーバーと,黒のパンツ。ちょっと出かけるくらいなら全然OKな代物だ。
もちろん下着も新しい物を出し,バスタオルとともに置いておいた。
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