熱帯夜<1>
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今年の夏は暑い!
最高気温は連日30度を越してるし、夜も熱帯夜続き。
けどオレは割と平気だ。
なんたって地球を守る身だからさ。暑いなんて言ってらんないよ。
とにかくたくさん食べて、たっぷり汗をかいて、しっかり寝る、これが日々の基本だ。
今日も久々に建設現場への派遣ではりきって来た。他のバイトの奴はこういう仕事を嫌がるけどオレは好き。体動かすのが嫌いじゃないってものあるけど・・・時々だけど「偶然」があるからさ。
「あ!」
ほら、今日はその偶然の日だ。
遠くからでもすぐに見つけられる背の高い後ろ姿。
だって見慣れてるもんな、後ろ姿を。
いつだって戦いが終わるなりオレたちに背を向けて行ってしまうからさ・・・
おっとダメダメ、そんなことでメゲてたらこいつらとはやっていけないって。
「おはよう、一甲!」
暗くなりかけた気分を振り払って明るく声をかけた。
なのに、返ってきたのは鋭い一瞥。
なんでこいつはこうなんだろう。
たぶん一時とは言え敵方についてたりしたことをまだ気にしてるんだろうけど、戦闘の時以外はオレたちと一緒にいてくれない。曰く「馴れあう気はない」んだそうだ。
別に馴れあうとかじゃなくてオレは普通に話をしたりしたいだけなんだけどなあ。
そりゃ、当代迅雷流随一の使い手!とか言われてたこいつらに比べたらオレたちなんかまだまだ未熟なんだろうけどさ。一緒に命懸けて戦ってるんだからさ、笑ってくれとは言わないけど、せめて返事くらいしてくれないか?
ほら、またなんか胸の奥がズンて重くなったじゃんか。朝からこういうのって気分よくないぜ。
「今日は一人か?一鍬は一緒じゃないのか?」
「おまえには関係ないだろう。さっさと事務所へ行って着替えを済ませてこい」
そう言って事務所らしきプレハブを顎で指すと、一甲は奥の方へ行ってしまった。
待ってくれ、と言いたかったが言えなかった。
関係ない。
その一言が突き刺さる。
どうしていつもおまえはそう言うんだ?
どうしてオレは言われるたびに・・・こんなにも胸が痛い・・・?