「天馬!!!」
慌てて後を追った豪が見たものは・・・
頭や肩に細い紙テープやら紙吹雪やらをのせてポカーンと突っ立ったままの天馬。
「天馬・・・?」
そして,そんな天馬の前でクラッカー持って,ニヤニヤしている仁と,もうひとり・・・
いるはずのない異星人,インパクター星人ロギア人間体の姿だった。

さらに,立ちつくす2人の耳に聞こえたものは
「HAPPY BIRTHDAY!!」
という陽気な仁の声と,
「誕生日だそうだな・・・祝うものらしいな。」
という,ロギアの声とさらにもう一発なったクラッカーの音だった。


「全部,狂言か?!なんでロギア?!」
という豪の言葉に,伝通院はあきれたように言った。
「おい,仁。お前,豪に話してなかったのか?」
「当たり前じゃん,正直者の豪に芝居なんてできるわけないの!」
力説する仁に,豪は怒る気力をなくした。せめてもの腹いせに,仁の頭に拳骨を入れるのが精一杯だった。

「洸〜〜〜〜」
低い声がして,いきなり伝通院は胸元を掴まれた。
「お前,やっていいことと悪いことがあるだろう!?こんな・・・俺はな,ほんとに心配したんだ!」
「グランセイザーのすべきことではなかったか・・すまなかった,天馬。全部俺が仕組んだことだ,3人は俺が巻き込んだ。」
たまたま,ルシアが病院にいたときの様子を聞きに伝通院の元を訪れたロギアが,サプライズゲストに選ばれてしまったのだ。
伝通院は自分を締め上げている手をほどかせると,そのまま天馬をきつく抱きしめた。
「天馬・・・お誕生日おめでとう。ロギアもいっしょに祝ってくれるというからつい・・」
悪のりしてしまった・・すまない・・伝通院はそう言って。
伝通院の胸にしっかりと抱き込まれた天馬が,呟くように言った。
「俺は・・変わったことしてくれなくても・・よかったのに・・お前がいれば・・」
「天馬!!」
「洸・・・」


「え〜〜〜っとお二人さん・・・・」
今にもキス以上のことまでしてしまいそうな2人に,思わず仁が声をかける。

「しまった・・・お前達もいたんだったな。」
あまりの言われように,このまま帰ろうかと思った3人だった。
「タリアス・・お前にはいつも驚かされる・・・」
ロギアのため息混じりの言葉に,レムルズもだよ・・と心の中でツッコミを入れ,仁と豪は苦笑するしかなかった。
ふと思い出したように,仁が
「パーティー用の料理,頼んでるって言わなかったか?」
と言うと,
「ああ・・・そうだった。フロントに連絡すればすぐに持ってきてくれる。」
どことなく後悔したようなトーンの伝通院の声が返ってきた。


「ロギア,お前どうやってきたんだ?」
「ステルス機能付きのダイロギアン・・・」
「マジ?どこ置いてんの?乗せて〜〜!」
「というのは冗談だ。ステルス機能はほんとだが,宇宙船で来た。寝泊まりもできるしな。」
「・・・そこで寝泊まりしていたのか?」
「今日までいてくれといったのは,レムルズ,お前ではないか。」
「すまない・・。ホテルでも取ったのに。」
「設備は充実しているから問題はない。我々の宇宙船をバカにするな。」
「わ〜〜,中見てみたい。ロギア,やっぱそれに乗せて〜〜!」
「構わないが,ダイル,なんならいっしょに来るか?インパクター星に。」
「おもしろいかも!で・・・帰りも送ってくれるんだよな?」
「おい!仁。ところで,ロギア,お前大丈夫だったのか,あっちにもどってから・・・」
「心配してくれるのか,トラゴス。」
「命令違反・・・だったんじゃないのか?軍人にとって命令は絶対だろう?」
「ああ,その通りだ。身分は剥奪され,一介の軍人になった。だが,後悔はしていない。戦いしか頭になかった私にも,いろんなものが見えるようになったからな。」
「そっか・・。で,今回ルシアのことを?」
「ああ。命をかけてしまった彼女が,どんな様子だったのか,私は何も知らないことに気がついてな。」

5人で,豪華な料理を食べ,酒も酌み交わしながら,話は尽きなかった。
その料理がなくなるころ,酔っぱらいが3人できあがっていた。
仁と天馬と・・・ロギア。

「私は,宇宙船に帰る。」
据わった目で言うロギアに
「おい,帰れるのか?」
思わず豪が尋ねた。
「ふ・・,私の瞬間移動の力を忘れたか?」
そう言った瞬間,ロギアは消えていた。
「あ・・・お礼もまだ言ってないのに。せっかちな奴だな。」
と言う天馬の言葉に,律儀に豪が応える。
「というか,単なる酔っぱらいになってたようだが。」
「サンキューロギア・・」
豪の存在など目に入っていないように,窓の方を見ながらそう呟く天馬を,やはり天馬しか目に入っていない伝通院がそっと抱き寄せる。
そのまま抱きかかえるようにして,寝室に行こうとする伝通院に,
「・・・洸,俺たちはどうなるんだ?」
「?」
「まさか,この酔っぱらい連れて,家まで帰れと言うのか,車を置いて,こんな場所から,こんな時間に?」
ソファで半分眠りこけている仁を横目に見ながらの豪の言葉に,
「しまった・・」
今日聞くことが2度目の伝通院の言葉に,自分たちのことはしっかりと忘れられていることに気付かざるを得ず,がっくりと豪は脱力した。
しかし,その後に続いた伝通院の言葉に,豪はさらに立ち上がれないほどの脱力感を感じることになった。
「いっしょに寝るか?ベッドの広さは十分だぞ。」
床に懐きそうになった豪に,伝通院は笑いながら
「冗談だ。ゲストルームがある。そこに泊まっていってくれ。」
そう告げたのだった。

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