<3>side一甲
(思わぬ収穫だったな・・・)
シャワーを浴びつつ、一甲は先程までの鷹介の痴態を思いだしていた。
それはあまりにも刺激的で、暴走しそうになる己の身体をコントロールするのに多大な努力を要するほどだった。
別段、今までの性生活に問題があったとは思えなかったが、せっかくのチャンスをフイにするほど達観してはいない。
しかし、少々やりすぎてしまった感が無きにしもあらずである。
今もまだ鷹介をベッドの上で待たせている。
アイマスク、手錠、バイブレーターはそれぞれ装着したままだ。
「放置プレイかよ」と力なくアイマスクの向こうから鷹介が睨みつけていたが、この際、もう少し楽しみたいというのが本音だ。
(しかし、不気味だな・・・)
楽しませてもらっておいて言うのもどうかと思うが、鷹介がおとなしすぎる。
多少は抵抗するそぶりはあったが、行為を中断させるほどではなかった。
(まさか・・・)
やはりいつもの情事に飽きていたのは鷹介の方だったのではないか。
(これは、少々考えねばならんな)
一甲が眉を寄せた時。
「一甲!」
突然、浴室のドアが勢いよく開けられた。
何事かと振り返る一甲の前には仁王立ちの鷹介。
「やっぱりやってらんねえ!」
そう言った鷹介は、さっきまで一甲の腕の中でされるがままに喘いでいた彼とは違う。
それはいつもの鷹介だった。
その手を縛めていた手錠はない。アイマスクも、おそらくはバイブレータ−も外してきたようだ。
「外せたのか」
「へん、これでも縄脱けだけは一番だったんだぜ」
得意げにそう言って、鷹介はずい、と一甲に歩み寄る。
「あんなもんでそう何回もイカされてたまるかよ」
腕を伸ばして一甲の顔を引き寄せる。ぐっと近い距離で鷹介は囁いた。
「お前のほうがいい」
壮絶な殺し文句を吐いた唇が悪戯っぽく笑う。
その表情に一甲は目を奪われた。
先程までの楽しいお遊びも全て消し飛んでしまうほどの淫猥さである。
敵わない、と一甲は思った。
完敗だった。
誘われるように一甲は目の前の唇を塞いだ。
込み上げる激情のままにしなやかな身体をかき抱く。
ベッドまで戻るのももどかしく、その場にマットを敷いて押し倒した。
性急に全身をまさぐり、さっき吐精したばかりの鷹介を茂みからすくい上げ、舌を這わす。
「あ、イ、イイ・・・」
鷹介が自由になった両手で一甲の髪をかき乱した。
合わせるように鷹介自身が息を吹き返す。まだ余韻が残っているのか、感じやすいようだ。
「挿れるぞ」
身体を起こし、鷹介の足を抱え上げる。
あらわになった鷹介の秘所に、いつのまにか痛いほどに張りつめている己の分身をあてがった。
さんざんに嬲ったソコは物欲しげに収縮を繰り返し、一甲の侵入を待ち望んでいるようだ。
ぐい、とこじあける。
「んんっ」
鷹介が呻いた。
「辛い、か?」
問い掛けると鷹介は首を横に振った。
「もっと・・・来、いよ・・・」
伸ばされた腕が一甲の首に絡みつく。
引き寄せられるように一甲は奥まで突き入れた。
「ああああ!」
鷹介が一甲の背に爪を立てる。
「くっ」
内襞が収縮して一甲自身を締めつけた。
その衝撃をやり過ごして、一甲が動き始める。
「鷹介・・・」
ぎゅっと閉じられてた目元に口付けるとうっすらと鷹介が目を開けた。
艶を含んだ喘ぎを漏らしながら、扇情的な唇が笑う。
「ん・・・イイ・・・やっ、ぱり・・・お前、のほう、が・・・ああ!」
あらわになった首筋に一甲はきつく吸い付いた。
「一甲・・・一甲・・・一甲・・・」
激しくなる突き上げに鷹介が再び爪を立てる。
その背をしっかりと抱きかかえて、一甲も一気に高みへと駆け登る。
「鷹介っ!」
短く吠えて一甲が鷹介の最奥で弾ける。
同時に鷹介も絶頂を極めていた。