ゆっくり逢うことが久しぶりだったせいもあって,ちょっと無理させてしまったと一人反省する豪。
その横で,意識を飛ばしてしまっている仁。
簡単に後始末をすませたあと,無防備な仁の顔を見つめながら,知らず知らずのうちに髪を梳くようにしていると,突然,パチッと仁が目を覚ました。
「今,何時?」
「あ?えっと,もうすぐ12時か。」
仁は,いきなり起きあがろうとして,グッという声とともに再びベッドに沈んだ。
「悪い・・仁。無理をさせてしまった。」
すまなさそうに言う豪に,大きく息を吐きながら,
「あのな〜,逢いたかったのも,こうしたかったのもお前だけじゃないよ。」
だから気にするなと言う仁。
そして,そろそろとゆっくり起きあがり,豪に言ってそばにあるガウンを取ってもらうと,それを羽織って,仁は部屋を出て行った。
少しして仁が帰ってきて,ガウンを脱ぎ豪の横に潜り込んだ。
そのとき,仁が持ってきたらしい携帯のアラームが鳴り出した。
『♪HAPPY BIRTHDAY TO YOU・・・・』
そのメロディーに,仁がシーツから顔だけ出して
「お誕生日おめでと!」
と告げた。
「これも1番のりということで。」
あまりのことに何も言えない豪は,目をしばたかせながら仁を見つめることしかできなかった。
「これ,1番に言いたかったから,お前,迎えに行って,ここに連れてきて・・」
豪は・・・すっかり忘れていた,1月3日,自分の誕生日。
お正月に紛れて,忘れられることが多かったし,この職に就いてからは,勤務していることが多かったから。逆に1日寝ていたことさえあった。
「仁・・お前,よく覚えてたな。」
「そのために,あの服だって作ったのに。覚えてるに決まってるっしょ。」
「ありがとう。その・・どう言っていいのかわからんが,ものすごく・・感激している。」
その言葉にニカッと笑った仁に
「まだ早いよ。はい,これ。」
と,小さな箱を手渡された。
「プレゼント!」
「・・あの服がそうじゃないのか?」
「もちろんあれもだけど,これもそうなの!開けてみ。」
ていねいに包み紙をはがし,中の箱を開けると,そこにはストラップが入っていた。
その先にはリングがついていて。
「何か身につけるものって思ったんだけど,お前,アクセサリーとかつけないだろ。だからさ,ストラップの先につけてもらった。はずしたら指にも合うようになってるけど。」
シルバーのリングに,赤い石と青い石。180度の位置に2つの石が納まっていた。
それが革の紐でストラップに取り付けられていた。
「豪のプレゼント,すごーく嬉しかったからさ。豪にも身につけておいて欲しいんだ。」
そう言う仁の耳には,豪のプレゼントのピアスが光っていた。
目を見開いて仁を見つめながら,豪は言葉を告げることさえできずにいた。
「豪?」
顔をのぞき込むようにした仁を抱きしめ,そのまま口づけた。
そして,まだ唇が離れきらないような距離で
「ありがとう・・・」
と,豪は小さく掠れた声でやっと告げた。
今度は仁から口づけられ,2人はそのままベッドに沈んだ。
その日の朝。
今度こそ本格的に起きあがれなくなった仁はベッド,豪はすっきりと目覚めて,朝ご飯の用意をしていた。
そうしている間にも,新しいストラップのついた豪の携帯には,次々とメールが入ってきていた。
仁の家に豪がいることがわかった仲間達が,プレゼントを持って押しかけてきたり,仁が頼んでいたケーキが届いたり・・
豪の誕生日は,賑やかに過ぎていった。
「豪の誕生日,いっしょに過ごせてよかった。」
そう言う仁に,豪は
「それは俺のセリフだ。ほんとにびっくりした。」
と照れくさそうに言った。
「びっくりしただけ?」
「・・・嬉しかったに決まっている・・・」
「今日も,泊まってってくれるよな?何なら,ずっといてくれてもいいんだけど・・」
「えっ?」
「冗談・・・にしとく,今は。」
仁は早口でそう言うと,パフッと豪に飛びついた。
外は寒風吹きすさび,雪もチラチラしている寒い季節。
暦の上でもまだまだ春は来ないけれど,一足先に春を感じているような,そんな2人の様子に,仲間の持ってきてくれた鉢植えのチューリップの蕾もほころびそうだった。
終
keebさん、いつもありがとうございます!
この二人めっちゃ好き〜〜〜♪