「ああっ・・・!」
伝通院の動きに合わせて天馬が声を上げる。
喘ぎながらも恥ずかしいだの、変態だのと照れ隠しの抵抗をしていた天馬だが、もはや嬌声以外は出ないようだ。
再び自己主張し始める天馬自身を伝通院の指が搦め捕る。
シーツを掴んだ天馬の指が白い。
天馬が頭を振るたびに汗が飛び散った。
声を抑える余裕もないその体をさらに伝通院は突き上げた。
伝通院自身にもあまり余裕はない。
物理的な快感はもちろん、天馬の中にいるという強烈なまでの高揚感で気を抜くと今にもイッてしまいそうだ。
「あ・・・ああ!あ、洸・・・俺、もう・・・」
熱を溜めた天馬の目が伝通院を見つめる。
「いいぞ、天馬・・・俺もイク」
「洸・・・洸・・・あ、ああああっ!」
「天馬っ・・・!」
幾度目かの絶頂を二人で駆け登る。
魂の奥までドロドロ蕩かすような快感を感じながら、伝通院は自分の身の内にこれほどまでの欲望があったのかと驚いていた。
この年になれば異性と付き合ったことがないというのは不自然で、当然、彼にもそれなりの経験はあったが、これほど夢中になったことはなかったと記憶している。いや、というよりも彼のこれまでのセックスライフはかなり淡泊であった。実のところフラレた原因も半分はそこにあるような気がしている。
だから、天馬を好きだと自覚したときもそれはメンタルな部分でのみの思考であり、フィジカルな問題に発展するとは思えなかった。まあ発展する以前に問題点があったので無意識に避けていたのかもしれないが。
だが、今、彼の下で熱く体を震わせる肉体は伝通院の体から止めどもなく欲望を引き出す。
「洸・・・」
叫び過ぎて枯れてしまった声さえも、耳に心地よい。
「天馬」
答える伝通院の声も掠れていた。
はあ、と吐息を漏らす唇を舌先でなぞり、シーツに投げ出された腕に指を這わせる。
満ち足りた幸福感と、底のない欲望。
「天馬・・・好きだ・・・」
うっとりとそう囁けば、天馬が喉の奥で笑った。
「ばーか、わかってるよ・・・」
「馬鹿はないだろう・・・ん?天馬?」
ふと異変に気づいて覗き込めば、天馬は安らかな寝息を立てていた。
寝つきの早さに驚きつつ、無理をさせた自覚は十二分にあるので、少々肝を冷やす。
思わず医者の目でバイタルを確認してしまうほどに。
「天馬」
汗で額に張り付いた髪を払い、口づける。
初めて見る天馬の寝顔。
なぜ、天馬だったのだろう?
そんな疑問がふと浮かぶ。
だが、その答えに行き着く前に規則正しい鼓動を聞きながらいつしか伝通院も眠りに落ちていた。

本館に戻る