大晦日のひとコマ
12月31日。
一年の最後を締めくくるその日に相応しい食べ物といえば「年越し蕎麦」。
もちろん、どうせ食べるなら旨い方がいいに決まっている。
と、そんなわけで元・伝説の後継者御一行(お目付役2名含)は御前様こと覚羅とシュリケンジャーが経営する「蕎麦処・朱里軒」に集まっていた。
最近なにかと忙しかった9人が久しぶりに顔を揃えた瞬間でもあった。
が、やはりのんびりと年を越す、などということは問屋が卸さないらしい。
「行ってきま〜す!」
元気よくそう叫んで鷹介は暖簾をくぐって外へ出た。
"他人の休みはビジネスチャンス"がモットーの九十九スタッフデリバリーに年末年始はない。
彼にはこれから明日の昼まで都内有名神社で初詣客の整理という仕事が待っていた。
「さぶっ!」
先日までの暖かさとはうって変わった厳しい寒気に思わず立ち止まる。
見上げた夜空はどんよりと曇っていて、星一つ見えない。
(そういやさっき天気予報で雪が降るかもしれないと言っていたっけ・・・)
そんなことを思いながら一歩踏み出しかけて、何かに引きとめられた。
冷気にさらされた頬をふんわりと包むのは毛糸のマフラー。
クリスマスに二人で選んだ模様違いのマフラーの片方。
「サンキュ、一甲」
うっかり忘れるところだったそれをしっかりと巻きなおしながら、鷹介は背後の男を振り返った。
「気をつけて行って来い」
言葉とともに向けられた笑顔に鷹介はガッツポーズを取って見せる。
「おう!御前様の蕎麦も食べたし、元気120%だぜ!」
「ほう」
一甲はふっと笑った。
「な、なんだよ」
「では、キスはいらんのだな」
いきなり一甲の口から飛び出したとんでもない言葉に鷹介は飛び上がった。
「お、おまっ・・・!ここ外だぞ!」
信じられねー、と言ってからはっと気づいてあたりを見まわす。
誰も、居ない。
そうだった、と鷹介は頭を抱える。この男に抜かりがあるわけがないのだ。
見上げれば、してやったりな一甲の顔があった。
こう毎度毎度引っ掛けられていると、もう腹が立つというより情けない。
「で、どうする?」
「・・・いる」
ニヤリと笑った口元を恨めしげに見上げながら鷹介はうなずいた。
なんだかんだいっても出勤前のこの儀式がお気に入りの鷹介であった。
「・・・いまだに新婚気分・・・」
胸やけしそう、と七海はモニターを見ながらため息をついた。
画面には店の前で堂々とラブシーンを演じている男が二人。
そう、蕎麦処・朱里軒、セキュリティ面に抜かりはない。防犯カメラは24時間稼動中なのだ。
(兄者、知っててやってるな・・・・)
軽く頭痛のし始めたこめかみを無意識にさする一鍬。
鷹介はともかく、あの兄が防犯カメラに気づいていないはずがない。
それでも目的を完遂してしまうののが霞一甲という男だった。
そして、もはや誰もそれをとやかく言う気はないのだが。
なにせ、この場の最高責任者である御前様こと覚羅にいたっては、
「退屈させんのう、カブトライジャーは」
と、楽しげに笑っている始末であるし。
(平和で何より、か・・・・)
ため息をつきつつ店内に目を戻せば、隣の卓でおぼろとシュリケンジャーが真剣に碁を打っているし、奥の座敷では半分居眠っている吼太(昨夜は夜勤だったらしい)に酔った無限斎がなにやら説教をしている。
カウンターの傍に立つ御前様はとても穏やかな気を放っている。
一鍬の隣に座っている七海とて、言葉とは裏腹にとても楽しそうだ。
そして、一鍬も。
(我らは幸せ者だな、兄者・・・・)
そう胸中で呟いて、一鍬はすっかりぬるくなってしまったお茶をゆっくりと飲み干した。終
やっと上がった年末話・・・ってもう2月じゃん!
そして結局私は何が書きたかったのだろう?(汗)